マイホームの譲渡損失について

◎土地建物の譲渡損失と損益通算

土地建物の譲渡損益は次式で求められます。

次式がプラスなら譲渡益、マイナスなら譲渡損失です。

譲渡価額-(取得費+譲渡費用)=譲渡損益

 

建物の取得費は、購入(新築)時の取得価額から減価償却費相当額を控除して求めます。

土地建物の譲渡損失は、原則として他の所得との損益通算は認められていません。但し、主たる居住用財産の譲渡損失については、以下の特例があります。

◎居住用財産の譲渡損失についての特例

譲渡した年の1月1日において、所有期間から5年を超えている居住用財産(マイホーム)を譲渡し、譲渡損失が生じている場合、譲渡した年の他の所得(給与所得等)と損益通算でき、損益通算後の損失金額は翌年以後3年間繰越し、各年の総所得金額から控除することができる特例です(所得税・住民税)。

尚、譲渡先が夫または妻、直系血族、生計を一にする親族などの場合は認められません。マイホームを買い換えた場合と買い換えない場合(賃貸住宅に入居、親の自宅に同居等)では、内容が異なります(表)。

◎居住用財産を買い換えた場合

一定の居住用財産を取得し居住した場合、譲渡損失の金額が全額、特例の対象となります。但し、住宅の敷地に係る譲渡損失の金額のうち面積500㎡を超える部分に相当する金額は、翌年以後に繰り越すことは出来ません。この特例は、住宅ローンを組んで新たな居住用財産を取得することが要件とされ、住宅ローン控除との併用が認められています。但し、この特例により所得税がゼロの年は実質的に使えません。

◎居住用財産を買い換えない場合

例えば賃貸マンションに移り住む等、新たに居住用財産を取得しなかった場合には、譲渡損失のうち、「譲渡資産の住宅ローン残高-譲渡価額」が上限とされます。つまり、譲渡金額全額を返済に充当しても残ってしまう住宅ローンの金額が、特例の対象となります。

 

表 居住用財産を譲渡し、譲渡損失が生じる場合の特例の要件

譲渡損失

※at home TIME july 2022 NO.487より抜粋