令和5年度 不動産に関する税制の改正

1.所得税

(1)短期所有土地の譲渡等をした場合の土地の譲渡等に係る事業所得等の課税の特例について、適用停止措置の期限が令和8年3月31日まで3年延長されます。(2)相続空き家の3000万円特別控除の特例について、主に次の措置を講じて適用期限を令和9年12月31日まで4年延長されます。

 

①本特例の適用対象となる相続人が相続(または遺贈)により取得した被相続人居住用家屋(および共に取得したその敷地等)を譲渡した場合、その家屋が譲渡のときから翌年2月15日までの間に次のいずれかに該当することとなった場合は、本特例が適用できます。

 

イ 耐震基準に適合することとなった場合

ロ その全部を取得し(もしくは除却)、またはその全部が滅失した場合

 

②本特例の適用対象となる相続人の数が3人以上である場合、特別控除が2000万円/人とされます

 

③その他所要な措置を講じます。

 

※①、②の改正は令和6年1月1日以後に行なう被相続人居住用家屋(および共に取得したその敷地等)の譲渡について適用します。

 

(3)低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の100万円の特別控除について、主に次の措置を講じて適用期限が令和7年12月31日まで3年延長されます。

 

①譲渡後の利用要件に係る用途から、いわゆるコインパーキングが除外されます。

 

②次の区域内にある低未利用地等お譲渡対価の要件を800万円(改定前:500万円)以下に引き下げます。

 

イ 市街化区域または非線引き都市計画区域(用途地域が定められている地域)

ロ 所有者不明土地対策計画を作成した市町村の区域

※①、②の改正は、令和5年1月1日以後に行なう低未利用土地等の譲渡について適用します。

 

(4)優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例について、主に次の措置を講じて適用期限が令和7年12月31日ま延長されます。

 

①特定の民間開発事業の用に供するための土地等の譲渡を除外します。

②開発許可を受けて一団の宅地の造成事業を行なう業者に対する土地等の譲渡は、次の区域内に係るものに限定されます。

 

イ 市街化区域

ロ 市街化調整区域

ハ 非線引き都市計画区域(用途地域が定められている地域)

 

いわゆる立体買換え特例について、買換え資産である中高層お耐火建築物の建築に係る事業の範囲から、特定の民間再開発事業が除外されます。

 

税務署

2.法人税

(1)中小企業者等の法人税の軽減税率の特例の適用期限が2年延長されます。

 

(2)次の特例の適用期限が令和8年3月31日まで3年延長されます。

 

①短期の土地譲渡益に対する追加課税制度の適用停止装置

 

②一般の土地譲渡益に対する追加課税制度の適用停止措置(適用除外措置の範囲から一部を除外)

 

(3)特定の資産の買換えの場合等の課税の特例は、主に次の見直しを行なった上、その適用期限が3年延長されます。(所得税も同様)。

 

①既成市街地等の内から外への買換え(改正前:1号)は、適用対象から除外します。

 

②航空機騒音障害地域の内から内外へ買換え(改正前:2号)は一定の区域内にある資産を除外します。

 

③長期所有の土地建物等から国内にある土地建物等への買換え(改正前:4号)は、課税の繰延割合を以下の通りとします。

 

イ 東京都の特別区の区域から地域再生法の集中地域以外への本店(または主たる事務所)の所在地移転を伴う買換え・・・・90%(改正前:80%)

ロ 地域再生法の集中地域以外から東京都の特別区の区域への本店(または主たる事務所)の所在地の移転を伴う買換え・・・60%(改正目:70%)

3.相続税・贈与税

(1)相続時精算課税制度について、主に次の見直しをします。

 

①相続時精算課税適用者が特定贈与者から贈与により取得した財産に係るその年分の贈与税については、現行の基礎控除(110万円)とは別に、課税価格から基礎控除110万円を控除できます。

 

特定贈与者が死亡した時に相続税の課税価格に加算される特定贈与者からの贈与財産の価格は、前記の控除をした後の残額とされます。

 

②相続時精算課税適用者が、特定贈与者から贈与により取得した土地・建物が災害によって一定の被害を受けた場合(死亡した特定贈与者の相続税申告書提出期限までの間)、相続税の課税価格に加算される土地・建物の価格は、災害によって被害を受けた部分に相当する額を控除できます。

 

③その他所要な措置を講じます。

 

※①の改正は、令和6年1月1日以後に贈与により取得する財産について適用します。

 

※②の改正は、令和6年1月1日以後に生じる災害により被害を受けた場合について適用します。

 

(2)相続開始前に贈与があった場合の相続税の課税価格への加算期間等について、主に次の見直しを行ないます。

 

①相続(または遺贈)により財産を取得した者が、その相続開始前7年(改正前:3年)以内に被相続人から贈与により取得した財産の価額については合計額から100万円を控除した残額)を相続税の課税価格に加算します。

 

②その他所要の整備を行ないます。

 

※①の改正は令和6年1月1日以後に贈与により取得する財産に係る相続税について適用します。

 

(3)直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、次の措置を講じて適用期限が令和8年3月31日まで延長されます。

 

①信託等があった日から教育資金管理契約の終了の日までの間に贈与者が死亡した場合において、その贈与者の相続税の課税価格が5億円を超える時は受贈者が23歳未満等であっても、同日における管理残額を受贈者が贈与者から相続等により取得したとみなします。

 

②受贈者が30歳に達した場合等において、管理残額に贈与税が課せられるときは、一般税率(特例税率ではなく)が適用されます。

 

③その他所要な措置を講じます。(教育資金の範囲拡大を含む)。

 

※①の改正は令和5年4月1日以後に取得する信託受益権等に係る相続税について適用します。

 

※②の改正は令和5年4月1日以後に取得する信託受益権等に係る贈与税について適用します。

 

(4)直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、受贈者が50歳に達した場合等において(3)②と同様な措置を講じて適用期限が令和7年3月31日まで2年延長されます。

 

at home TIME2023/3 より抜粋

税金女