不動産の取得・保有・売却にかかる税金

(1)長期譲渡と短期譲渡

◆不動産の譲渡所得 土地・建物を譲渡した時の譲渡所得は、ほかの所得と分離して課税される。

 また、所有期間により長期・短期の区分がある。

 土地・建物を譲渡した場合の税率は、所有期間によって異なる

 

① 長期とは:譲渡した年の1月1日における所有期間が5年を超える場合

② 短期とは:譲渡した年の1月1日における所有期間が5年以下の場合

 

③ 税率

 ・長期譲渡所得の税率:20%(所得税15%※、住民税5%)

 ・短期譲渡所得の税率:39%(所得税30%※、住民税9%)

 ※ 別途、復興特別所得税(所得税×2.1%)がかかる

(2)譲渡所得の計算

課税譲渡所得=譲渡価額-(取得費+譲渡費用)

 

①取得費:譲渡した資産の取得に要した金額+その後の設備費・改良費-償却相当額

      取得費が不明の場合は、譲渡価額の5%を概算取得費として計上する

 

②譲渡費用:資産譲渡に直接要した直接経費、仲介手数料、印紙代、建物取り壊し費用

      (固定資産税や修繕費は含まない)

譲渡所得の計算

(3)マイホーム売却に関する4つの課税特例

居住用財産3,000万円の特別控除

 

マイホームの土地・建物等を譲渡した場合、譲渡所得の金額の計算において譲渡益から3,000万円が控除される。用件や特徴は下記の通り。

 

 ・所有期間や居住期間を問わず、適用できる。

 ・3年に一度しか適用できない。

 ・配偶者・直系血族などへの譲渡は対象外

 ・住まなくなった日から3年目の12月末日までに譲渡すれば適用できる。

 ・②の軽減税率の特例と併用できる

 

②軽減税率の特例

 

所有期間が10年を超える居住用財産を譲渡した場合は、長期譲渡所得の税率20%(所得税15%、住民税5%)よりも低い税率が適用される。

課税譲渡所得の金額が

 

・6,000万円以下の部分:税率14%(所得税10%※、住民税4%)

・6,000万円超の部分:税率20%(所得税15%※、住民税5%)

※別途、復興特別所得税(所得税×2.1%)がかかる

 

③居住用財産の買換特例

 

 ・マイホームを(1憶円以下で)売却して譲渡益が発生し、一定期間内にマイホームを買

   い換えた場合、新たに購入した居住用財産を譲渡するときまで譲渡益に対する課税を繰り

   延べられる。

 ・譲渡価格≦買換価格の場合:売った値段以上の物件を買った場合、譲渡益に対する課税は

    全額繰延られる。

 ・譲渡価格>買換価格の場合:譲渡資産と買換資産の差額分だけ譲渡所得の対象になる。

④譲渡損失の繰延控除

 

 一定の居住用財産の譲渡で損失が発生した場合、損益通算をした後に残るマイナス金額

   は、翌年以降3年間にわたり繰越控除できる、要件は下記の通り

 

 ・譲渡した年の1月1日において所有期間が5年超

 ・控除する各年末に住宅ローンの残高があること

 ・床面積が50㎡以上