知らないと損をする優遇制度あれこれ

【家】

老後を見据えて、住み替えや家の売却を検討している人は多いでしょう。不動産の売買は大きなお金が動くため、税金の控除や特例を知らないと多額の税金を払うことになりかねません。

 

売るなら、住まなくなって から3年以内に

 

自宅など不動産を売却する際は、買ったときよりも高く売れた場合にのみ税金がかかります。 仮に2000万円で買った自宅 を5000万円で売却できたとすると、利益はざっくり3000万円でこの金額は所得としてみなされるため、所得税と住民税がかかってきます。税率は、家の所有期間5年を超えていた場合20%、5年以下の場合は約39%です。但し、住まなくなってから3年後の12月31目までに売却すると、3000万円の利益までは税金がかからないという「居住用財産を譲渡した場合の3000万円の特別控除の特例」があります。その3年間、人に貸して家賃収入があって大丈夫です。

 

相続した空き家は 2027年までに売却を

 

親から相続した家を売る場合、 相続した日から3年後の12月31日までに売却すれば、先の自宅売却時同じく3000万円分 が控除対象となる「空き家特例」 が使えます。対象は、新耐震基準が設けられた1981年5月 31日以前に建てられた家屋。相続後は空き家のままで誰も住んでいない,などの条件があります。この特例が適用されるのは、2027年(令和9年)12月31日までの売却に限られるため、売るつもりの家があるならば早めに検討しましょう。なお、自宅売却も空き家売却も特例を受けるための条件は複数あり、確定申告が必要です。 税務署や税理士に相談したうえで手続きをしてください。

 

 【相続】

相続対策の前に、財産を洗い出してノートなどにまとめ、分け方を決めておきましょう。相続の申告期限は 10カ月、それを過ぎると、税金を安くする特例が使えなくなります。財産がいくらあるかわからない、相続内容で揉めるなどしていると、いつの間に期間が過ぎてしまうもの。ただし、相続税の申告書 とともに「申告期限後3年以内の分割見込書」を税務署に提出 すれば、いったん相続税を納めても、期限後に一定の要件のもと特例の適用を受けられます。

 

減税効果の高い生前贈与を選択

 

相続税対策の一つに、「生前贈与」があります。年間110万円 までの贈与は課税されないという「暦年贈与」の非課税枠を使ってコツコツ贈与れば、相続税の節税に。これまで本人が亡くなる3年前までの贈与分は相続税の計算対象でしたが、2024年以降の贈与から、この期間 が7年になることが決定しました。そのため、相続税対策の効果は減少したと言えるでしょう。 一方で、60歳以上の父母、または祖父母などから18歳以上の 子や孫に財産贈与をする場合に利用できる「相続時精算課税」制度の改正が注目を集めています。2500万円まで(1回でも分けて贈与してもよい)は贈与税がかからないものの、相続時に精算されて課税対象になるという制度ですが、2024年以降、年間110万円以下の贈与は無期限で相続税の計算対象にしなくてもよい、と改正されます。

 

生命保険を活用する

 

相続税対策として簡単で確実なのは、実は生命保険です。

相続人一人につき500万円の非課税枠があり、たとえば子どもが3 人いる場合、死亡険金が1500万円の生命保険に加入して おけば、亡くなったときに 子供たちが受け取る1500万円 に相続税はかかりません。また、老後資金が不足した際に解約して使うこともできるので、使い勝手もよいと言えるのではない でしょうか。

 

 

※2024年2月25日現在の法令・情報に基づいたものです。