相続財産としての宅地の評価

1.相続財産としての宅地の評価方法

 

宅地の評価は1筆ごとではなく、1画地(利用の単位となっている1区画。2筆以上の宅地からなる場合もある)ごとに行われる。所在する地域によって、路線価・倍率いずれかの方法により評価する。

(1)路線価方式

宅地が面している道路に定められた路線価を基準として、その宅地の状況や形状などを考慮したうえで最終的な価格を計算する方式。

(2)倍率方式

郊外にある土地には路線価が付いていないため、対象となる宅地の固定資産税評価額に、国税局長が定めた倍率を乗じて額を計算する。

 ※路線価は、国税庁のホームページにある“路線価図・評価倍率表”で調べることができます。 路線価図上にある評価したい土地を見つけ、その土地が面している道路の路線価を確認しましょう。 路線価は1平方メートルあたりの価格を千円単位で表示しています。

2.小規模宅地等の評価減の特例

相続または遺贈によって取得した宅地について、通常の評価額から一定の割合を評価減にする特例

相続する土地の種類

〈住宅用〉

・特定居住用宅地

 

〈減額が適用される条件〉

・配偶者

・同居の親族がその後も住む

・別居の親族がもらって住む

相続する土地の種類

〈事業用〉

・特定事業用宅地、

・特定同族会社事業用宅地

 

〈減額が適用される条件〉

・相続人が事業(家業)を受け継ぐこと

相続する土地の種類

〈貸付用〉

・駐車場や賃貸マンションなどの事業用宅地

 

 

〈減額が適用される条件〉

・相続人が賃貸事業を続けること

〈減額される面積の上限〉

 

 330㎡

 

〈減額の割合〉

 

 80%減

 

〈減額される面積の上限〉

 

 400㎡

 

〈減額の割合〉

 

 80%減

 

〈減額される面積の上限〉

 

 200㎡

 

〈減額の割合〉

 

 50%減

家
ビル
駐車場

※被相続人が相続発生直前まで居住用、事業用、不動産貸付用のいずれかにしていたことが要件。また、相続人が今後その宅地を引き続き同様に利用していくことが要件となる。

 

 

3.宅地の分類と評価

 

(1)自用地

借地権などの権利や制限のない宅地のこと。自宅の敷地、空地、青空駐車場、自分の事業所などが該当する。

(2)借地権

建物の所有を目的として土地をかりた場合の権利のこと。

借地権の評価額=自用地評価額×借地権割合

(3)貸宅地

借地権が設定されている宅地のこと。

貸宅地の評価額=自用地評価額×(1-借地権割合)

(4)貸家建付地

宅地所有者が建物を建てて貸し付けている(アパートを経営している)場合の宅地など。

貸家建付地の評価額=自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)

 

4.建物の分類と評価

 

 (1)自用家屋

    自ら使用する建物の評価額は、固定資産評価額そのまま。

    自用家屋の評価額=固定資産税評価額×1.0

 (2)貸家 

    貸付用に供されている建物のこと。

    貸家の評価額=固定資産税評価額×(1-借地権割合×賃貸割合)