固定資産税の負担調整措置について
【ご相談】
都市近郊の農家で、アパート経営が主な収入というお客様からの相談です。固定資産税が令和3年度は据え置きだったのに、令和4年度は上昇したそうです。理由を教えて下さい。
令和3年度は基準年度
固定資産税の税率は、1.4%のままです。従って、「税額」が上がった原因は「課税標準額」にあります。
固定資産税の評価額は、3年に一度評価替えが行われます。令和3年度は、この評価替えの年(基準年度)でした。宅地については、令和2年1月1日を評価時点とする地価公示価格の70%水準で評価されました。なお、その後の半年間に地価の下落傾向が見られる場合には、その下落率により価格が修正されます。今回の評価替えは、コロナ禍の最中でしたが、コロナ前の平成30年度(前回)と比較すれば評価額が上がった地域も多かったのです。
「令和3年度限り」の措置
固定資産評価額は3年間据え置かれます。つまり、令和4・5年においては、評価額は上昇しません(地価の下落傾向が見られる場合には、その下落により価格が修正されます)。では、なぜ令和3年度の「税額」は据え置きだったのに、令和4年度は上昇したのでしょうか。
実は、「評価額」が上がっても、令和3年度の「課税標準額」はコロナ禍の影響を考慮して令和2年度のそれが据え置かれたのです。この措置は令和3年度限りだったので、令和4年度に関しては、「負担調整措置」により「課税標準額」が令和3年度より上がったということです。住宅地の「負担調整措置」は負担水準(前年度の課税標準額÷当該年度の評価額)に応じて表1のように行われます(都市計画税にも同様な措置があります)。
例えば
・令和2年度の「課税標準額」が950円、
令和3年度の「評価額」が1,000円(3年間据え置き)だとします。
・令和3年度の「課税標準額」は950円(令和2年度の「課税標準額」を据え置き)
・令和4年度の「負担水準」は95%(950円÷1,000円)、従って
・令和4年度の「課税標準額」は1,000円(950円+1,000円×5%)
となり、固定資産税は5%上がったということです。
なお、商業地等(住宅用地以外)の負担調整措置は表2の通りです。
表1 住宅地の負担調整措置
(注)評価額は、下記の住宅用地の課税標準の特例の適用後となる。
表2 商業地等の負担調整措置
at home TIME 2022/11 おさえておきたい税務知識より抜粋