2015.6 最近読んだ本

「チャイナハラスメント:中国にむしられる日本企業」(新潮新書)を読んで

Kabは感情的、感覚的に中国とおつきあいはイヤだな、と思っていたが、この本を読んで、少しは客観的に考えられると思いました。著者は松原邦久さんで、実体験に基づく内容であった。

松原邦久 1943(昭和18)年生まれ。

1967年に鈴木自動車工業(現スズキ)に入社。同社で中国合弁会社の総経理、北京事務所首席代表などを務める。2004年、中国政府より国家友誼奨を受賞。

中国は日本の技術力や日本の製品や観光を必要としているから、適切に対処すればよい。
その基本の考えを教えてくれる内容であった。

次の二点は特に勉強になった。

 

 

日本がもっとも「与しやすい相手」

なぜ中国は日本ばかりを標的にして、国際社会の常識では考えにくい行動をとったりするのでしょうか。

一番の理由は間違いなく、日本がもっとも「与しやすい相手」だからです。中国の言い分に強硬な反論をするのでもなく、むしろ曖昧な態度で中国の機嫌を損ねないような態度をずっととり続けてきたからです。「いやそんなことはない」と仰る方もいるかも知れませんが、少なくとも中国側がそう見ていたのは確かです。

中国は、世界の四大文明のひとつの黄河文明を擁した国です。中国が持っていた文化は、周りの国々に伝播していき、それらの国の発展に影響を与えたという自負が中国人にはあります。だから中国を取り巻く国々は中国に感謝をし、中国のいうことに従うべきだと心のどこかで思っています。

さらに中国が日本を敵にする理由の中に、日本に対するやっかみ、ひがみ、コンプレックスがあります。為政者や知識人は中国経済が発展した今日でも、化学技術分野の競争力も、ノーベル賞受賞者の数も、生産技術の革新も、日本との間にまだまだ歴然とした差があることに気付いています。そして、それが我慢できないのです。

漢字や箸のロイヤリティは?

中国の交渉団(車体とエンジン担当で相手の交渉団は約30人)の一人が私の話が終わるか終わらないうちに「日本は漢字や箸を中国から持って行ったがロイヤリティは払ったのか」と質問してきました。私は「日本は支払いました」と答えました。相手は「どのようにいくら払ったか」と追及してきました。私は「漢字はおもに中国が隋や唐の時代に遣隋使や遣唐使が日本に持ち帰りました。日本からの遣隋使や遣唐使は中国に来るとき、金銀財宝を持って長安の都を訪問しました。日本は金銀財宝で漢字のロイヤリティを支払ったのです」と回答しました。相手は私が回答にこまるだろうと思っていたのか、私の間髪容れぬ回答に一瞬あっけにとられていました。そして次の追及の手が鈍りました。少し間を置いて相手は「それだけでは少なすぎる」と悪あがきをしました。

私はそれに対して「少ないのならその時に言わないとダメでしょう。ロイヤリティは払うべきなのです。あなた方も払ってください。金額が多いか少ないかは今決めましょう」と畳みかけました。これでこの交渉はこちらのペースで進みました。