2010.6.4特定居住用宅地等の要件

特別養護老人ホームへの入所で「特定居住用地等の80%減額」は可能か?

 

被相続人は、老人ホームに入所しました。この場合、入所するまで居住していた建物の敷地は、特定居住用宅地等として相続評価額の80%減額ができるかどうかについて、この間税理士さんに聞いてもよくわからない、とのお答えでした。Kabは調べました。

(1) 特定居住用宅地等の用件を満たす必要があります。つまり、その宅地等の上にある建物に被相続人が生活の拠点を置いていたかどうかにより判定することになります。

(2) 一般的には、被相続人が老人ホームに入所した場合には、被相続人の生活の拠点も老人ホームに移転したものと考えられます。このような場合には、入所前に居住していた建物の敷地は被相続人の居住用宅地等に当たらないことになります。

(3) しかし、特別養護老人ホームは、著しい障害があるため常時介護を必要とする者で、居宅で適切な介護を受けることが困難な者を市町村等の介護保険制度により入所させて養護する施設ですから、特別養護老人ホームへの入所は病気治療のために病院に入院した場合と同様の状況にあると考えられますので、したがって、その建物の敷地は被相続人の居住用宅地等に当たるものと言えます。そして、相続した者が特定居住用宅地等の要件を満たしていれば、80%の減額の対象となると考えられます。(具体的な事例については、税務署に必ず事前にご確認下さい。)

 

一般的な老人ホームの場合は?

一般的な老人ホームの場合、被相続人は終身入居となっています。この場合に、「特定居住用宅地等の80%減額」適用を可能にする為には、老人ホームは実態的に終身入居でなく一時入居でなければなりません。すなわち、被相続人はたびたび自宅に戻り、実際に自宅で起居(写真等で立証できること)して、まさに生活拠点は老人ホームでなく、自宅にあることが必要です。

そうしませんと80%減額が適用されず、高い相続税を支払うことになってしまいます。